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我輩はゴキブリである

我輩は猫である

という夏目漱石が書いた本は誰しもが知っているものだろう。

僕も大好きな本の一つだ。そこでここで一つこんな話をみんなに聞いてもらいたい。

『我輩はゴキブリである』

 

プロローグ

実はみんなには言っていなかったが僕はゴキブリに変身することができる。

といっても、滅多なことがない限りこの能力は使わないのだが。

 

ある夏の日暑かったから涼しいところに行きたくなったんだ。だから変身して隣の家の冷蔵庫の隙間で涼むことにした。

 

ゴキブリ界の掟

ここで一つみんなに知ってもらわなければならないことがある。我々ゴキブリ界ではある一つの大きな掟がある。

 

「人間に見つかってはならない」

 

人間に見つかると我々は理不尽なことに何もしていないのに殺されてしまう。一度存在を確認されるともうそこには住むことはできない。対策をされてしまうのだ。人間には対ゴキブリ用の戦闘兵器がある。

 

嗅いだこともないような美味しそうな匂いにつられて本能のまま入ると足がくっついて動けなくなったり、シューっという音と共に、気づけば体が動かなくなったりする。

 

僕はそれでやられていく仲間たちを数多く見てきた。だからいつも最大限の注意を払って過ごしている。

 

死という感情

しかし、あの日僕は油断してしまった。なんと僕が涼んでいた冷蔵庫の隙間にあろうことかあの女ソーセージを落としてきやがった。

 

当然その女は拾いに来る。さあ困った。逃げ場がない。いっその事飛び出すか。いや、そんなことをすればハエ叩きならぬゴキブリ叩きであの世行きだ。

 

どうする。どうする。

 

そんなことを考えているとあの女と目があった。見つめ合うこと3秒間。恋が始まるあの秒数。

 

おわった。。。

 

僕の本能が言っている。お前はここでおわりだ。死ぬのだと。全身が震えている。しかし、正直僕自身すでに覚悟はできていた。

人間がゴキブリに変身出来るなんて必ずどこかで帳尻合わせがおこる。そんなことはよく考えていた。考えていたはずだった。

なのに、いざとなると死ぬのが怖い。死にたくない。生きたい。

 

神は僕を見捨てなかった。

 

 運命の出会い

「おい。何してる!早くこっちに来い!」どこからか声が聞こえる。「こっちだ!こっち。後ろだよ!」

振り返るとそこにはゴキブリがいた。僕のように変身したゴキブリではない。本物の本家のゴキブリさんだ。

因みに名前は田中というらしい。

 

僕も一応は人間だ。田中さんには悪いが一瞬、いやだいぶ気持ち悪いと思ってしまった。これも人間の悪いところだろう。見た目で判断をしてしまう、何て弱い生き物だ。

 

聞くところによると田中さんは抜け穴を知り尽くした言わばゴキブリ界の王とも言える存在らしい。

そんな田中さんについていくと案の定抜け穴があった。

 

僕が人間でゴキブリに変身出来るということは誰にも言ってはならない。そういつかの夢で神様に言われたことがある。

 

もし言ってしまったら君は二度と人間には戻れないよ。肝に命じておきなさいと。

 

でもね。ごめん。神様。ぼくはこの田中さんには伝えなきゃならない。自分の命を張ってまで敵であるはずの人間、僕を助けてくれたのだから。

自分で言うのもアレだが僕はゴキブリでありながら少し見た目がおかしい。それもまた当然のこと。だって元は人間なのだから。

 

我輩はゴキブリである

人間は弱い生き物だから自分と違うところがあるとおかしいとか異常だとか騒ぎ立てる。本来、他と違うということは良いことであるはずなのに。

個性というものに人は恐れているのだ。溢れるほどいる人間の輪からはみ出るのが怖いのだ。

 

でもそんな気持ちの悪い僕を田中さんは迷うことなく助けてくれた。ゴキブリなんて人間の対ゴキブリ用兵器を使えばすぐに動けなくなってしまう。そこだけ見れば人間なんかよりもずっと弱い生き物だ。でも違う。

 

田中さんは僕を区別なんてしない。僕ら人間なんかよりもずっと強い生き物だ。僕はそんな人間に戻りたくない。田中さんのようにありたい。ゴキブリでありたい。

 

 「田中さん。実は僕、人間なんだ」

 僕はゴキブリとなった。

 

『我輩はゴキブリである』

 

 まとめ

人間の弱さについてを題材にして話を書きました。誰しも仲間はずれだとかそういった類のものに恐怖を感じるのは普通のことです。

 

でもその恐怖に打ち勝って一歩踏み出している人を馬鹿にするのはおかしいと思います。この恐怖に打ち勝って戦っている人は本当にすごいと思うし、僕自身そんな人間を目指してします。

 

あなたの周りにもしそういった人がいるのなら素直にすごい奴だと思ってください。そしてそういう人にあなたもなってください。そんな願いを込めて書きました。

最後まで読んでいただきありがとうございます。